紳士靴のカカトは簡潔に言ってしまうと革の土台の上にゴムの板が張られている様なものです。カカトの部分がすり減っていくと、ゴムの部分をこえて土台の革部分まで削れていってしまいます。こうなると修理の際に一工夫必要になります。

カカトの修理はまず、ゴムの部分を剥がします。剥がした部分の古いボンドは機械で削り取り、新しいゴム板を貼り付けます。この時、土台の革部分まですり減りが達していると、新しいゴム板と土台の間にすき間ができてしまいます。ゴム板のない状態でみるとわかりますが、土台の角が欠けている状態になっているのです。

※新しいゴム板を当てるとすき間ができる
※角が欠けている状態の土台部分

まずはこの欠けている部分を修復していきます。適当な大きさに切った革を欠けた部分に接着します。十分に圧着させたのちに、機械で元の形に戻るように削り出していきます。

※欠けた部分に革を接着する
※土台に沿って削り出した状態

改めてゴム板を当てて見ると隙間なく接していることが分かります。この状態から通常のお直しと同様に、ゴム板を貼り付け、形を整えるとすき間無くキレイなカカトに仕上がります。あとは着色をして磨けば完成です。

※すき間のない状態
※ゴム板を接着し形を整えた状態
※仕上がった状態

いかがだったでしょうか。
カカトのすり減り度合いに関わらずできる限りきれいに仕上げることはできますが、すき間を修復する作業には別途料金がかかってしまうのでゴムの部分が残っているうちに交換することをおすすめします。